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カテゴリ: B-29のメカニズム

B-29の生産工場


 01

 

アメリカの国力の象徴とも言えるB-29

当時の先端技術の塊であるB-29は、どんな工場で生産されていたのか?


B-29の開発の経緯

 

193911月に行動半径2000マイルの四発爆撃機の試作要求が出され、
1940627日に5機が予備発注され、

19415月にアメリカ陸軍は、ボーイング社に250機を発注したことで、
ボーイング社は、ウィチタに新工場建設、同年96日に正式契約が結ばれ、
開発を進めながら生産の準備に入り、

1942921日に、試作1号機が初飛行しています。

2号機は、エンジン火災を起こして民間会社のビルに衝突事故等を経て、
量産体制に入ります。


B-29とその他の爆撃機の生産機数


1942年の後半から生産が始まったB-29の生産機数は何機だったのでしょうか。

 b-29-assembly

末期にはマリアナ基地から500機編隊で爆撃に来る事が出来たので、

1000くらいは生産されたのでしょうか。


その生産数は3970となっています。

 

戦争終結により

3970機で生産終了したと言うのが正しいかもしれません

 

当時としては最大級の大きさと、

圧キャビンやリモコン銃塔と言った、
他国ではマネできなかった、

高度な技術を要する装備品を要してのこの生産数です。

まったく驚く他ありません。


しかしアメリカは、

他にもB-17B-24と言った4発爆撃機も生産しています

それらは、何機くらい生産されたのでしょうか?

これがまたとてつもない数なのです

 

まず、B-1712677機も生産されています

 B17

B-24に至っては、なんと18181(他に海軍向け1000機)
という膨大な数
です
※生産機数は、資料によって多少前後します。

 

 B24

これだけの数の4発爆撃機を生産出来たのは、もちろんアメリカだけです。

 

ちなみにこの18181機という数は、

戦闘機も含めたアメリカの軍用機中一番の生産数となっています

 

戦闘機は、P-47サンダーボルト、
P47


P-51マスタングがそれぞれ約15,000機ほど生産されています。

P51

それ以外の戦闘機も多数の機種が、

10,000機以上の生産数となっています。

 

さらにアメリカでは以下のように双発の爆撃機も
かなりの数が生産されています。

B25

ノースアメリカンB-25が、9793


B26

マーチンB-26が、5157

  


A20

ダグラスA20が、7478

A26

ダグラスA26が、1909

     

このようにかなりの数が生産されています

 

四発爆撃機と双発爆撃機の合計生産数は、
合計60,855機という途方もない数となっています。

ところで、ライバルの日本軍爆撃機は、どれくらい生産されたのでしょうか?
以下のようになっています。

 


 type99

九九式双発軽爆撃機が、1977

type97

 九七式重爆撃機が、713
type4
    

四式重爆撃機「飛龍」が、606


 type100
百式重爆撃機「呑龍」が、796

九六式陸上攻撃機が、1048一式陸上攻撃機が、2416

type96
type1
      

陸上爆撃機「銀河」が、1002機。

ginga
      

合計8558

 

これはB-25の生産数より少ない生産数です。  

 

日本とアメリカでは、工業生産力にこれほどの差があったわけです

 

 

B-29の生産工場(ベル社マリエッタ工場)


B-29は、開発メーカーのボーイング社以外に
ベル社とマーチン社でも生産されています

 

各工場での生産機数は、以下の通りです。

 

ボーイング社のレントン新工場・1,122機(ワシントン州)
ウィチタ工場1,644機、

ベル社のマリエッタ工場668機、
マーチン社のオマハ工場536

(他に試作機3機がボーイング社シアトル工場で生産)

 

さすがのボーイング社でも

B-17の生産をしながらB-29まで生産するのは、

大変だったようで、他社の協力も得ています


工場共、当時最大級の巨大工場でした

 

例として、ベルエアクラフト社マリエッタ工場での
B-29生産の様子を見てみます

bell-marietta-b29
 

遠くに見える、巨大な白い建物が工場の建物です

 Screenshot_50

これは授業員の駐車場ですが、とんでもない数の車が駐車されています

 Screenshot_01

このような広大な駐車場を擁しています。
 Screenshot_03


自動車通勤など、当時の日本ではまったく考えられない事です


Screenshot_02

当時日本で自家用車を持っている人なんて、
医者とか社長とかごく一部の金持ちだけ
で、
一般の国民にはほとんど普及していない頃、

アメリカでは車社会となっていたわけです


●工場内で作業の様子

 

女性が作業をしていますが、

これはトレーニングをしているところです


Screenshot_07
 

 航空機の生産工場なので

まずはリベット打ちの練習をしているのでしょう

Screenshot_06
 

これは、何かの講義をしているところですが、


Screenshot_08


右に立っている女性が講師で、

左に立っている男性は手話通訳をしています。


つまり聴覚障害の人が働いていたのです。

 

プロパガンダ映画からの画像ですが、当時女性が講師をしていたり、

障害者の人たちも働いているという
アメリカ社会の一旦を垣間見る事が出来ます。

Screenshot_09

 

ここからは、実際の作業工程の様子です


Screenshot_14

これは、大型のプレス機で何かパーツを作っているところです

 

Screenshot_11
 

これは、機体にリベットを打っているところです Screenshot_12
この大きなパーツは、フラップのようです。

Screenshot_15
 

これは機体上部と側面のドーム型の窓です。

Screenshot_16

女性の工員が多いのは、
当時アメリカでは積極的に女性を雇用していたからです。

 

日本のように学徒動員では無く、成人女性の雇用です

 

これは与圧キャビンの圧力隔壁の生産工程です
Screenshot_17

当時与圧キャビンを装備した機体は、各国で研究されていたものの、

一部の実験機程度しかなく、本格的に爆撃機に装備したのは、
B-29が最初でした。

 

Screenshot_18
 

いくつも並べて、同時に組み立てています。
中心からずれた穴は、前部と後部を繋ぐトンネル用の穴だと思われます。

 

Screenshot_19

これは、コックピット部の艤装作業です。


このように何人も張り付いて、作業しているのがわかります

 Screenshot_20

いくら規格化が進んでいて、効率よく組み立てられるようになっていても、

かなりのマンパワーは、必要だった事が窺えます

 

組み立てが完了した、後部の与圧キャビンです
Screenshot_21

B-29の機体は、ユニットごとに組み立てて、最後に合体させるようです

 

●充実した工場の福利厚生

 Screenshot_23

ずいぶんくつろいだ女性たちが写っていますが、

ランチタイムの様子です

Screenshot_24
 雰囲気と言い服装と言い、

とても大戦中の軍需工場のランチタイムとは思えないです

 

これは食堂ですが、このようにカフェテリア方式になっています

Screenshot_25

それにしても充実した食事内容です

Screenshot_26

当時の日本の食糧事情から考えると、

夢のように豪華なランチと言えます

Screenshot_27
 

これは男女が同じテーブルでランチを食べていますが

これも当時の日本では、まずあり得なかったのでは無いでしょうか

 

次に休み時間や余興の様子です。

Screenshot_29

ボールを借りて、

Screenshot_31

バレーボールをしたり、

Screenshot_30

グローブを借りて、
Screenshot_32

野球をしています。


これは工場の従業員が余興で演奏している様子です

Screenshot_28

このような戦時国債の販売所も開設されていたようです

Screenshot_33
これは従業員の住宅です

Screenshot_43

住居内には、このような近代的なキッチンが備え付けられています。


Screenshot_44

現代のキッチンとそう変わらないレベルに見えます

生活水準の高さが窺えます。

 

これは子供達従業員の子供たちのようです

Screenshot_46

子犬を抱いていたり、手前の子は宿題をやっているのか、
何かを書き込んでいます


服装など現代の子供と、そう変わらないように見えます。


Screenshot_47
 

こちらは保育所です

子持ちの労働者でも安心して働ける環境が用意されていました

 

これはレクリエーションセンターです

Screenshot_48

こんな大きなプールがあります。


Screenshot_49

大勢の従業員で、混雑している様子がわかります。


Screenshot_42

このはしゃいでいる光景を見ると、とても大戦中の光景とは思ません

 

それこそ欲しがりません勝つまではで、
必死に働いていた日本との格差に愕然とさせられる光景です。

 

B-29の組み立て工程(その2


そして、仕事再開です。

 

Screenshot_34
 

胴体と翼を合体させているところです


Screenshot_36

これは、内部の艤装品の取り付けをやっているところです


Screenshot_37
 

これは、配線のはんだ付けしているところです
奥にもたくさんの配線の束が見えます。

すでに作業が完了しているようですが、
細かくてかなり根気がいりそうな作業です。


Screenshot_38
 

エンジンの取り付け作業の様子です
作業員と比較すると、R3350エンジンの巨大さがわかります。


Screenshot_39
 

エンジン取り付け作業にも女性がいました

Screenshot_40

こちらは女性作業員が、

半球型の窓を機体に取り付けているところです

 

完成した機体が並んでいます

Screenshot_41
 

B-29をこれだけ並べられるところから

いかに巨大な工場かがわかります

 

Screenshot_53

そして最後は、完成したB-29を隣設された飛行場から

テスト飛行が行われます

Screenshot_54 
アメリカの圧倒的な物量と豊かさに驚かされるばかりです

 


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●通常の銃座での射撃法

リモコン銃塔と自動偏差射撃システムは、非常に先進的でしたが、
B-29以外の爆撃機ではどのようにして射撃をしていたのでしょうか。

SnapCrab_NoName_2020-5-29_1-4-39_No-00


通常の射撃では、射手が敵機の動きを見極めて、
未来位置へ向けて弾を撃ち込む必要があります。

SnapCrab_NoName_2020-5-29_1-2-35_No-00


未来位置を決めるために、
環状照準器で捉えた敵機の大きさや飛行している方向から、
距離と速度を判断して修正量を決めなければなりません。

SnapCrab_NoName_2020-5-29_1-7-59_No-00


旋回しながら近づいてい来る敵機に対しては、
刻々と変わる修正量に対して的確な未来位置に射撃するという、
非常に難しい技術が求められます。

これは、個々の射手により能力の差があることが、窺えます。

かなりの訓練と経験が必要だったと思われます。

この偏差射撃の自動化システムを実用化したアメリカの技術力に驚かされます。


●搭載機関銃


銃塔に装備されている機関銃は、口径12.7ミリのAN/M2という、
米軍の定番機関銃です。

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米陸軍も海軍も機関銃と言えばこれしかないのか、
というほど広範囲で使用されていました。

米軍戦闘機は、陸軍も海軍もこれを左右の翼に3丁ずつ装備するのが
標準となっているかのようなほどです。

爆撃機の防御用も、ほぼすべてこの機関銃となっていました。

この機関銃の特徴は、初速が速くて弾丸が真っすぐに飛ぶ距離が長い、
いわゆる低伸弾道性が高いということです。

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当時から現代まで使われ続けている傑作機関銃の一つとなっています。

SnapCrab_NoName_2020-5-14_5-23-24_No-00


銃弾の搭載量は、各銃につき500発となっていました。
全部で12丁なので、6000発積となります。

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20ミリ機関砲は、イギリスのイスパノ・スイザ HS.404のアメリカ仕様、
AN/M1という機関砲が装備されていました。

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この機関砲は、威力はあるものの信頼性がイマイチで、
装弾数も125発と少なくて弾道特性も違う事から、
早い時期に廃止されています。

現地改造で、12.7㎜機銃に交換されている機種もあるようです。


●射撃シミュレーター

アメリカには、巨大な射撃シミュレーターが存在していました。
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それが、ウォーラーフレキシブルガンナリートレイナー
(The Waller Flexible Gunnery Trainer)です。

gunnery_fig_2


半円形のドーム型スクリーンに攻撃してくる戦闘機を投影して、
ダミー機関銃で射撃するシミュレーターとなっていました。

旋回しながら近づく敵機がリアルに見えるようになっているという優れモノでした。

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B-17やB-24のボールターレットや、
機体上部の動力銃座の訓練も可能となっています。

4人が同時にトレーニングできるようになっていたようです。

ビデオゲームが出る以前に、
エレメカという機械と電気仕掛けのゲーム機が、
デパートの屋上などに設置してありましたが、
あのエレメカの大規模で高度な物と言えるかもしれません。

Fred_Waller

ちなみにこの装置を考案したウォーラー氏は、
後にシネラマを開発しています。

このシミュレーターの特徴は、
敵機が旋回しながら攻撃してくるのをシミュレートしていて、
しかも撃った弾が当たったかどうかも、判定してくれるようになっている事です。

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さらに機関銃の射撃音も出て振動もして、
撃った弾の数をカウントして評価まで出来るようになっていました。

どうやってそんな事が出来たのか?

その仕組みは、シミュレーターを動かすと敵機を投影するフィルムと同時に、
もう一つのフィルムが動いていて、このフィルムを使って当たり判定をしています。


フィルムを使って当たり判定とはどういうことなのか?

同時に動いている片方のフィルムは黒いフィルムで、通常は光を通しません。

gunnery_fig_8

所々に小さな長方形の穴が開けられていて、
同じ形の穴が開いたバーと一致した時に、光源からの光が通過します。

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その光が光電池と反応することによって当たりと判定をしています。

つまりその黒いフィルムの穴の位置と言うのが、
敵機を撃つ時の未来位置に対応しているという事です。

このバーが、ダミー機関銃の動きと連動していて、
適切な位置に向けた時に、バーの穴とフィルムの穴が一致するようになっています。

命中判定時には、射手のイヤホンからビープ音が聞こえて命中したとわかります。

この時に、ちゃんと引き金を引いている必要があり、
引き金を引いているときに発射される弾の数もカウントされます。

しかもこれにはスコアリングシステムが付いていて、
なるべく少ない弾数で、命中すると高得点になると思われます。

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ちなみになかなか当てられない射手には一時停止して、
適正な位置を示すことが出来るようにもなっていたようです。

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このように、電気と機械仕掛けで非常に巧妙なシステムを作り上げているのに、
感心してしまいます。

これにはB-29用もあったようです。
このような射撃指揮官用の照準器が付いているのがわかります。

SnapCrab_NoName_2020-6-2_17-49-47_No-00


これの当たり判定がどうなっているかは、情報が見つからなくて不明ですが、
照準器のレチクルで、
一定時間敵機を捉えたら命中になるとかいう仕組みかもしれません。


B-29の射撃訓練用には、こんなのとか屋外に胴体を模した銃塔があったり、
トラックの荷台に設置されたタイプもあったようです。

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逆さまになったショットガンが装備されています。

なぜショットガンなのか?
クレー射撃でもやるのか?

実は、射手の訓練の一つにクレー射撃があります。
見越し射撃を体で覚えるのに最適な射撃だからだと思われます。


しかもトラックの荷台から移動しながらクレー射撃をやる訓練まであります。

SnapCrab_NoName_2020-6-7_2-43-15_No-00

このような事から、B-29のリモコン銃塔射撃訓練用にもショットガンが使われていた?
のかもしれません。

SnapCrab_NoName_2020-6-2_17-50-38_No-00


とにかくアメリカには爆撃手の射撃訓練用の施設や、
トレーニング用のマシンが充実していた事は、間違いないようです。

●プライマリーコントロールとセカンダリーコントロール

ここからB-29の射撃システムの説明に戻ります。

前回説明したように、各銃塔には担当の射手がいますが、
それぞれの射手の視界の範囲は決まっています。

CFC systemcontrol2


敵機が死角に入った場合狙えなくなるから、
狙うことが出来る射手に担当を譲った方がより多くの弾幕を張れます。

また、射手が負傷して照準器を操作できなくなる事もあり得ます。

そんな時のために、2つの制御系が用意されていました。

CFC systemcontrol3


プライマリーコントロールが、
それぞれの射手が自分の担当の銃塔を使用する制御系で、
セカンダリーコントロールが、
自分の担当以外の銃塔も使用できる制御系です。

セカンダリーコントロールでは、
前部射手が前方上部と下部の銃塔、上部射手が前方上部と後方上部の銃塔、
右側射手が、後方下部と尾部銃塔、
左側射手も後方下部と尾部銃塔が操作できるようになっていました。

このため、銃塔1台操作用と2台操作用の2種類の、
コンピューターが積まれていました。
SnapCrab_NoName_2020-5-14_5-18-2_No-00


担当を譲るには、銃座のコントロールパネルに付いているつまみを、
セカンダリーコントロール可能の位置にしておいて、
照準器のアクションスイッチを放します。

敵機がどの位置にいるのかを、
インカムを通して情報共有しながら切り替えていたと思われます。

このシステムにより防御火器の効果をさらに高める事ができました。


●射撃の手順と注意点

射撃の手順と注意点を説明します。

まずコントロールパネルの主電源をオンにして、
次に、コンピューターのスイッチをオンにします。

そして照準器を動かして、銃塔が正常に動作しているかを確認。
これは銃塔が見える射手が確認することになっていました。

次に、セカンダリーコントロールシステムが正常に動作するかを確認。

銃塔の動作確認が終わったら、機銃の試射です。
数発の短い連射しますが、この時周囲の機体に当たらないように注意が必要です。
B29_IA_4503_armament_gunner_p027_W


戦闘時の射撃の注意点として、照準器の操作は滑らかに行う事になっていました。
これは、照準器を雑に動かすとコンピューターの計算結果に狂いが生じ易いからです。

それから、別の敵機に狙い直す時は、
一旦アクションスイッチを放してから別の敵機に狙いを定めた後に、
アクションスイッチを押すようになっていました。

これも照準器を急激に振り回して、
コンピューターの計算が狂わないようにするためのようです。

ちょっとコンピューターのご機嫌をうかがいながら射撃していたみたいですね。

射撃するときは、バースと射撃と言う短い射撃を連続的に行うようになっていました。

これは、弾丸の節約とオーバーヒート防止のためです。
また結局その方が、命中率も高まるようです。

戦闘中は常にインカムで情報を共有するようになってました。


そして最後に、メイン電源はミッション終了まで切らないことになっていました。
一旦切ってしまうと、コンピューターの真空管が温まるまで時間がかかるから、
とっさの対応が出来ないからです。


●実戦での効果

このリモコン銃塔の実戦での効果はどうだったのか?

実戦での効果を評価するために、各銃塔にはガンカメラが取り付けられていました。

それで効果は確認できたのか?

ある搭乗員の手記によると、

30回のミッションの中で、尾部銃座射手が5機以上の撃墜を認定されて、
その他の射手が、合わせて10数機の撃破という戦果が認定されています。
B29_IA_4503_armament_tail_p027_W


特に尾部銃座は、修正する量が少ないから撃墜率が高かったのは分かる気がします。

実際にどこから攻撃を受けたかのレポートがあって、
それによると、こんな感じで攻撃を受けています。
SnapCrab_NoName_2020-6-6_21-48-8_No-00


前方と後方からの攻撃が多かったようです。
SnapCrab_NoName_2020-6-6_21-48-23_No-00


日本側の記録では、前方上部からの攻撃が防御火器の銃弾に
当たりにくい位置とされていて、多用されたみたいですが、
かなりの技量を要する攻撃法で、
誰でもできるような攻撃法では無かったようです。

アメリカ側もこの攻撃が多用されたので、
すぐに前方上部の銃塔の機銃を2丁から4丁に増やしています。
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ちなみにB-29の銃塔からは、約2000フィート(約610メートル)
の距離から射撃を始めていたとなっています。

結構遠い位置から撃ち始めていますが、
敵が撃って来るより先に撃ち始めて、相手をひるませていたようです。

防御火器の目的は、
敵を撃墜するというより爆撃任務の邪魔をさせない事にあるとすれば、
誰でも偏差射撃が出来るB-29のリモコン銃塔は、
かなり有効に役割を果たしたと言えるでしょう。


●まとめ

B-29は、当時のハイテク技術の塊ですが、
その中でもリモコン銃塔装備の射撃管制システムには、
本当に驚かされます。

何と言っても1940年代初めに、これを実現していたのが驚異です。

アメリカは、実現可能だと判断したら徹底的に予算や人材を突っ込んで、
他国じゃ夢のような兵器を開発しています。

実用化してから大量生産して、最前線まで送り届ける兵站の力が圧倒的で、
搭乗員や射手の訓練施設も充実していました。

あらゆる分野の裾野が広くて、基礎工業力が高かったという事が、
リモコン銃塔に集約されていると思います。





B‐29操縦マニュアル
米陸軍航空隊
光人社
1999-07-01


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B-29には、数々の先進的な装置が装備されていました。

B29_Av_4409_cover_p001_W


その中でも特に先進的な装備が、リモコン銃塔とその制御システムです。

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B-29の銃塔は、機体前部の上下に1基づつ計2基、
機体後部の上下に同じく1基づつ計2基、尾部に1基の合計5基が装備されています。

CFC systemcontrol2


B-29の射手は、機体前部機体後部の中心と左右と尾部に5人が配置されていました。

後部与圧室の中心の射手が射撃指揮官で、

SnapCrab_NoName_2020-5-14_5-16-50_No-00

通称床屋の椅子と呼ばれる回転式の椅子に座っていました。


Gunnery_in_the_B-29-j2a


前部射手が担当するのが前方下部銃塔、
上部射手が前方上部銃塔、右側射手が後方上部銃塔、
左側射手が後方下部銃塔となっていましたが、

戦闘の状況に応じて、
別の射手に担当を譲る事が出来るという当時としては、
非常に先進的なシステムを有していました。

この射撃システムについて解説します。

●照準器について


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各射手は、このようなサイティングステーションと呼ばれる
大型の照準器を操作して敵機を狙います。

B-29の射撃システムの画期的な点として、
敵機を照準器のレチクル内に捉え続けると、自動的に見越し角が計算されて、
敵機の未来位置に向けて銃弾が飛んでいくように、
銃塔の向きが決められるという事です。


まずは、このダイヤルを動かして敵機の翌幅に相当する数字をセットします。

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例えば40と言う数字は、40フィートを表していて、
これはだいたい戦闘機の翌幅に相当します。

この数字が、敵機との距離の基準となります。

照準するときは、左右のダイヤルを両手で持って、
上下左右に動かしながら、敵機をレチクル内に捉えます。

その時、左のダイヤルから飛び出ているアクションスイッチを、
手のひらで押さえておく必要があります。

b-29-superfortress-gunsight-b29-bomber


一種の安全装置のようなものでしょうか。

右側のダイヤルの内側にある一回り小さなダイヤルを回すと、
レチクルが拡大縮小します。

そしてこのレチクルに敵機をぴったり捉え続けることで、
距離の変化を測ることができます。

左右のトリガーのどちらかを親指で押す事によって、
機銃を発射するようになっています。

通話ボタン(Push to Talk Button)ボタンを押すと、
他の射手とインカムで会話まで可能となっていました。


●銃塔と照準器を同期させる仕組み

照準器を動かすと、銃塔も同じように動きますが、
これはどういう仕組みになっているのでしょうか。

銃塔と照準器の動きを同期させるために、
セルシンと言う装置が使われています。

673dc744


これは、2つのモーターの片方を回すと、
もう片方も同じように回るという装置で、
銃塔を開発した、GE社(ジェネラルエレクトリック社)製です。

ちなみにセルシンという名称は、GE社の商標となっています。

このセルシンにより照準器と銃塔の動きがシンクロします。

でも完全にシンクロしていては、偏差射撃にはなりません。

偏差射撃とは、高速で移動している敵機そのものを狙っても、
銃弾が敵機の位置まで飛んでいく間に、その位置から飛び去ってしまうので、
弾は敵機の後ろを通り過ぎてしまいます。

そこで、敵機の前方の空間を狙って撃つ必要があるわけです。
これが偏差射撃です。

しかしこの偏差射撃は、敵機と銃塔との距離や角度、
速度など多くの要素を考慮して、
適切な前方空間に向けて射撃しないと命中しません。

当然、敵もこのことを知っているので漫然と直線飛行などせずに、
旋回しながら接近してきます。

刻々と変化する敵機の位置を見極めて、未来位置へ向けて射撃するには、
かなりの訓練や経験が必要となることが想像できますね。


B-29の射撃システムでは、照準器のレチクル内に捉えるだけで、
この難しい偏差射撃を自動的に行えるのです。


●偏差射撃

偏差射撃を分かりやすく解説しているのが、このイラストです。

SnapCrab_NoName_2020-5-14_3-50-41_No-00


新聞配達の少年が自転車で走りながら玄関先に新聞を投げ込む様子ですが、
走りながら玄関を狙って投げても、
全然違うところに飛んで行ってしまう事を表しています。。

つまり玄関先に投げ込むには、大分手前を狙って投げる必要があるという事ですね。

SnapCrab_NoName_2020-5-14_3-54-54_No-00

駐機している機体に向かって機銃掃射する場合も同じように、
大分手前を狙う必要があるという事です。
SnapCrab_NoName_2020-5-14_4-0-4_No-00


次に、こちらへ向かってくる敵機を狙った場合は、弾は前方へ逸れてしまいます。
だから、さらに前方を狙う必要があります。

ちなみに発射された弾丸は、距離が遠くなるにつれてだんだん落ちていきます。

例えば、初速750メートルで発射された弾丸は、500メートル先では、
2.85メートルも落下することになります。

これらを考慮して、何もない空間に向けて撃たなければならないと言う事です。

SnapCrab_NoName_2020-5-14_4-14-49_No-00


このイラストは、敵機が接近してくるのを銃座から見たイメージです。
このように3次元空間を高速で移動している敵機の上下左右の動きを見極めて、
未来位置に弾を撃ち込む必要があります。

何もない空間に向けて撃つのは、感覚的にも抵抗がありそうですね。

つまり旋回して接近してきた敵機には、
当てるのが非常に難しい事が想像できます。


●自動偏差射撃の仕組み

このように多くの条件を考慮しなければならない偏差射撃を、
どのようにして自動化しているのでしょうか。

まず、最初に説明したように照準器に敵機の翌幅の幅をセットします。
これが敵機との距離を測るための基本データとなります。

ダイヤルを回しながらレチクル内にぴったりと敵機を捉えるように、
拡大または縮小させることで、距離を測るようになっています。

B29_IA_4503_armament_gunner_p027_W


そして照準器の上下左右の動きから、敵機との相対速度が測られます。
これは照準器内にセットされているジャイロによって
検出された加速度が基となっています。

●アナログコンピューター


これらの要素を入力して計算するのが、。
ジェネラルエレクトリック社の、2CH1C1とD1いうアナログコンピューターです。

SnapCrab_NoName_2020-5-16_14-29-48_No-00
SnapCrab_NoName_2020-5-16_14-30-23_No-00


各銃塔用に1台、全部で5台機体後部の床下に装備されていました。

SnapCrab_NoName_2020-5-14_5-21-28_No-00


未来位置を計算するために必要なデータは、


1.照準器からの方位角と仰角

2・レチクルの拡大縮小による敵機までの距離

3.敵機との相対速度(照準器の2つのジャイロにより供給される)

3・対気速度、密度高度(航法士が入力)


等となります。

これらのデータが電気信号として入力されて、
修正された方位角と仰角がリモコン銃塔へ送られるようになっていました。
B29_Av_4509_Turret_fig1_p133_W



このアナログコンピューターは、
※オペアンプという加算減算微分積分が出来る回路の組み合わせだと思われます。

SnapCrab_NoName_2020-5-16_14-30-43_No-00
コンピューターの内部

たとえば、照準器の上下左右の動きをジャイロで検出すると、
加速度にあたる電圧の変化が得られて、

それをオペアンプで組まれた積分回路に入れると、
加速度を積分して速度に当たる電圧の変化に変り、
その電圧の変化を基に、方位角と仰角を決めているといった具合です。

SnapCrab_NoName_2020-5-16_14-16-50_No-00
コンピューターの回路図






※オペアンプはOperational Amplifier (オペレーショナル・アンプリファイヤー)
「演算増幅器」


※ゆっくり解説もやっています。




B29撃墜記 (光人社NF文庫)
樫出勇
潮書房光人新社
2013-08-02








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